研究職という仕事


私は、去年の秋ごろからずっとバイオ系の研究職(新卒採用)を求めて、
就職活動をしておりました。(現在M2です。)
それが、ようやく終わりそうなのですが、
現在、2つの選択肢があり、真剣に迷っています。


一つは、雰囲気が悪いのですが(←内部で働いている人から聞いた話なので、かなり確実な情報です)、
企業(ベンチャー)の正社員として雇ってもらえ、
ずっとやりたいと考えて来た研究につながるかもしれないことが
やらせてもらえる可能性があります。
しかし、土日もなく夜も昼も無く、ロボットのように
働かなくてはいけないようです。
また、私の今までやってきた研究に精通しているような
優秀な人も既にいる環境であり、その中で
はたして、優秀な人間とはっきり言えない自分が
結果を出して行けるのか、不安があります。


もう一つは、大変雰囲気がよい(←そこの研究室の人と話をして感じたことです。)のですが、
大学の共同研究職員としての、契約採用であり、
試用期間も三か月と言われています。
契約期間終了後も、別の契約をすれば、そこで働くことは可能であり、
博士をとることも可能だとは言われていますが、
確定的な話ではなく、
転職も考えなければならないでしょう。
(転職する際に履歴に書く名前としては、問題はないと思います。)
研究内容としては、自分の研究内容がまさに求められているようで、
その分野に詳しい人がいないようなので、役に立てるとは思います。
また、土日も研究はしているようですが、
前者のようなぎすぎすした雰囲気はないようです。


現在、前者からは、最後の返事待ちの状態で
(でも、おそらく大丈夫だと思うのですが、)
後者からは、採用通知を頂いています。
前者から最後の返事がきたら、結論を出さなければなりませんが、
決めきれず困っています。


なお、私は博士に行く気はありません。
研究者としてやっていくにはあった方がいいとは思いますが、
別にこだわっているわけではないのです。
(今の研究室には、既に同期のM2が二人残ることになっています)
むしろ、自分でお金を稼いで生活したい、というのが大きいのです。
実際、現在奨学金をもらって家賃2万3千円の生活しています。
博士に行くとなると、どうしても奨学金をもらうしかないと思いますが、
これ以上借金を増やしてまで行きたいと思えないのです。


また、たいていの環境では、多少ストレスを感じようがやっていくつもりですし、
不安を感じる点を克服するための努力はしていきます。
それでも、これほど雰囲気を気にしているのは、
似たような雰囲気の研究室(同じではありません)に行って合わず、
精神的にまいってしまいやっていけなかった(ひどい場合は、病院送りになった)
という例を知っているからです。


ある年配の方から、
自分の性格が打たれ強いかどうかで決めるべきではないか
というアドバイスを頂きました。
その方なら、前者を選ぶそうです。
研究者としての資質は和気藹々の中からは磨かれない
というのがその方の持論だからだそうです。


その考え方に共感するものもあるのですが、しかし、
自分が潰れてしまっては実も蓋もありません。
私が、心配しているのは、ここなのです。


研究職というものは深く突き詰めるのが仕事なので
精神的にはしんどいものがあるでしょう。
よく「カミソリのように切れる」なんて形容される方が居ますが、
そういった方より鉈のような方のほうが伸びたりするそうです。
ただ切れない鉈は使い物にはなりませんが。


絶えず周りから攻め立てられるような環境でも
3年(学部とマスターをあわせた期間)くらいは
(しっかりと前向きに仕事をして)耐えられるような性格ならば
前者で働き、3年後は他社へ動くにしても歓迎されるようなスキルが身につくと思われます。
(後者の道で自分の学問を充分に深めるように努力が出来るならば、
それも良い選択だと思います。)


ただ、今まで経験したことの無い苦しさを体験するらしいので、
(想像する以上に厳しいよ、と言われています)
どの程度まで打たれても大丈夫か、すなわち
自分のストレス耐性がどの程度か分からないため、悩んでいるのです。


また、私は、カミソリか鉈かと言えば、鉈だと思います。
就職活動をしていて、自分は成長が遅いと感じました。
去年の今頃、今の境地に達していれば、
決まるところもあったのではないかと思ったりもしました。
しかし、今の選択肢にたどり付けたのは、今までの1年があったからで、
自分にとっては大変意味のある時間だと思います。
だた、研究職では結果を求められ、
そのスピードも重要な要素なのではないでしょうか。
もし、就職活動の期限がM2の春までに定められていたなら、
私は失敗し、生き残っていけなかったことになります。
企業においては、首を意味するかもしれません。


長々と書いてしまいましたが、長い就職活動の中では、
楽しい悩みだと思います。
よく悩んで決めたいと思います。
ここまで、読んで下さった方、ありがとうございました。